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川崎と埼玉を結んだ「石炭輸送列車」、130年の歴史に幕 

経済 | 神奈川新聞 | 2020年1月9日(木) 21:08

 川崎市と埼玉県熊谷市を結ぶ国内唯一の石炭輸送列車が、3月14日のダイヤ改正で廃止されることが9日までに分かった。明治の鉄道草創期から130年以上にわたる「石炭列車」が幕を下ろす。

 運行するJR貨物(東京都渋谷区)が神奈川新聞の取材に対し、運転取りやめを認めた。荷主の太平洋セメント(同港区)は「現時点で発表できることはない」とするものの、関係者の話によるとトラック輸送に切り替える方針という。


姿を消すことになった国内最後の石炭列車=川崎市川崎区のJR扇町駅
姿を消すことになった国内最後の石炭列車=川崎市川崎区のJR扇町駅

 列車は川崎市川崎区のJR扇町駅から鶴見線や武蔵野線、秩父鉄道などを経由し、熊谷市の貨物駅・三ケ尻(みかじり)駅へ向かう。川崎の埠頭(ふとう)に陸揚げした輸入炭を、35トン積みの専用貨車約20両に載せ、三ケ尻駅に隣接する太平洋セメントの工場に運び込む。

 同社によると、石炭はセメント生成の工程で、原料の石灰石などを1450度の高温で焼成する燃料として用いる。産地はロシアやオーストラリアなど。石灰石は埼玉・秩父などで産出される。


小倉陸橋(川崎市幸区)付近を走行する石炭列車
小倉陸橋(川崎市幸区)付近を走行する石炭列車

 石炭輸送の歴史に詳しい北海道の釧路市立博物館・石川孝織学芸員は「非常に大きな節目となる」と指摘。「石炭列車は日本の近代化を進め、地域の発展にも貢献した」と、輸送が盛んになるにつれ沿線が活性化した歴史を説明する。

 石炭と鉄道の関係は深い。石川学芸員によると、その始まりは1882(明治15)年、北海道内陸部の炭鉱と小樽港とを結んだ官営幌内鉄道。新橋―横浜間の鉄道開業からわずか10年後だ。エネルギー革命前の最盛期は、産炭地の北海道や九州を中心に無数の石炭列車が走った。北海道の石炭は列車と船で京浜工業地帯にも運ばれたという。


埠頭へ入る石炭列車=川崎市川崎区
埠頭へ入る石炭列車=川崎市川崎区

 だが、石炭産業の衰退に伴い列車も減少。国内では昨年、釧路市の炭鉱の石炭を運んだ「太平洋石炭販売輸送臨港線」が廃止され、国内炭を運ぶ列車が消えたばかりだった。「明治以来、切っても切れない縁だった鉄道と石炭の関係が、ついに途絶える」と石川学芸員は話している。

 
 

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