女性の立候補者数と当選者数が過去最多となった参院選から1カ月。次は来年4月の統一地方選を見据え、女性の政治参画を後押しする動きが活発化している。先進国の中でも最低レベルとされるジェンダーギャップ(男女格差)を解消すべく、資金面やスキル向上、ネットワークづくりをサポートしながら、次世代の女性リーダーを増やしていく狙いだ。
(塩山麻美、蓮見朱加)
男女格差、先進国では最低
世界経済フォーラム(WEF)が先月発表した2022年版「ジェンダー・ギャップ報告」では、日本は調査対象の146カ国中、先進国では最低の116位だった。政治分野では139位とさらに低迷している状況を受け、次世代を担う女性政治家を支援しようと、民間から無償の育成プログラム「パブリックリーダー塾」が新たに誕生した。
運営するのは旧村上ファンドの村上世彰元代表が設立し、女性、教育、子どもの貧困などのテーマを中心に活動するNPOを支援してきた「村上財団」(東京都)。11月から来年3月の講義(全9回)のほか、キャリア形成に向けた教育費などに使用できる100万円を支給する。
「社会問題」「リーダーシップ」「行政機構・選挙戦略」をテーマとした講義で、女性政治家や大学教授らが講師役を務める。自民党の野田聖子前男女共同参画担当相や立憲民主党の辻元清美参院議員も講師役で参加。募集対象は将来政治家を志望する10~30代の女性(年齢は応募時点)で、「政治思想や、支持政党、国政・地方政治の別は問わない」としている。
村上氏の次女で同プログラムを立ち上げた村上玲代表理事は「学習機会、経済支援だけでなく、同じ志を持った女性が一緒に切磋琢磨(せっさたくま)して励まし合えるコミュニティーをつくることが女性の候補者を増やすことにつながると思う。より多くの女性に応募していただきたい」と話している。
意思決定に参画する女性リーダーを増やそうと、パブリックリソース財団(同)が昨年設立したのが「女性リーダー支援基金」。2年目の今年も対象者を募集している。
対象となるのは、(1)政治家志望者(2)NGOなどの社会活動実践者(3)社会起業家志望者(4)女性のためのアクションリサーチの企画・実践者─の4分野。対象は国内を活動拠点とする18歳から50代までの女性で、1年間に5人、3年間で計15人程度を書類選考と面談で選ぶ。受賞者には100万円の活動奨励金を支給し、交流ミーティングやメンターなどでのサポートも行う。
なぜ女性の立候補は少ないのか
女性の政治参画後押し 来年の統一選見据え「塾」や基金
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「パブリックリーダー塾」の会見で、「プログラムを通して日本のジェンダーギャップ解消を目指したい」と訴える登壇者ら [写真番号:1106187]
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「女性リーダー支援基金」の会見で、日本のジェンダー課題について話す審査委員長の上野千鶴子さん(中央)と、初年度受賞者の能條桃子さん(左)ら=いずれも都内 [写真番号:1106188]