今夏の参院選で子育てを中心に据えた戦いに挑んだ候補者がいる。3児を育てながら神奈川選挙区で共産党から立候補した浅賀由香さん(42)。「生活に政治を近づける」と掲げ、男性中心の政治の世界に多様性を生もうと模索した取り組みは、残念ながら議席には届かなかったものの、後進の女性たちに着実に受け継がれている。
覚悟
「7月から産休を取り、その後育休を取ります。12月までSNS発信もしません」。昨年4月、浅賀さんは参院選への出馬表明と同時に「育休宣言」をした。会見場の記者たちを前に、手は震えていた。
浅賀さんは2012年に第1子を出産し、衆院選神奈川15区から立候補。第2子を出産後、16、19年の参院選に挑んだ。選挙前に活動を完全に休むことを決めたのは今回が初めてだった。
仕事を何よりも優先する価値観が浸透した政治の世界で、休むことは「弱さ」になる。身を削るように働き、評価を受けてきた浅賀さんにとって、相当の覚悟が必要な決断だった。「顔や名前を売り、政策を訴える機会を自ら一つ一つつぶしていくことになる」。支持者や有権者の評価はどうなのか。何を言われるか分からない怖さがあった。
犠牲
向き合った「怖さ」 女性の政治参加を切り開く
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出産間近の斉藤さん(左)と女性の政治参加を語る浅賀さん=横浜市神奈川区 [写真番号:1123031]
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街頭演説後に市民と会話する浅賀さん(中央)=7月8日、東急田園都市線青葉台駅 [写真番号:1123032]