「エスカレーターはどうしていつまでたっても片側空けのままなのでしょうか」。「エスカレーターの2列乗りが叫ばれているのに浸透していません」─。こうした疑問の声が「追う! マイ・カナガワ」取材班に相次ぎ寄せられている。
記者もエスカレーターに乗る際は無意識に左側に立ち、急いでいる際には駆け上がってしまう一人…。なぜ習慣づいてしまったのか、自省を込めて背景を探った。(岩﨑 千晶)
国内では好況時に始まった
そもそも片側空けの起源はいつだろう。
エスカレーター文化に詳しく、約15年間研究しているという江戸川大名誉教授の斗鬼(とき)正一さん(70)=鎌倉市出身=によると、国内で初めて呼び掛けられたのは高度成長期の1967年ごろ。大阪の阪急梅田駅で「急ぐ人のために右に立とう」と呼び掛けられた。東京ではバブル期の89年ごろ、海外の「マナー」として横須賀線新橋駅などで始まり、浸透していったという。
ただ近年は、これを是正しようとする動きが各方面で起きている。背景にあるのは「危険性」だ。
記者もショッピングモールで、エスカレーターの左側に人が集中して降り口周辺に人の滞留が生じ、降りられなくなりそうになったことが幾度もある…。
片一方にしか立てぬ人もいる
エスカレーターなぜ歩く?(上)片側空けの背景を探ってみた
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左側に人が集中するエスカレーター=4月下旬、川崎市内 [写真番号:614231]
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エスカレーターを立ち止まって利用することなどを呼び掛けるポスター=横浜市中区 [写真番号:614232]
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「虎ノ門ヒルズ 森タワー」の1人乗り用エスカレーター(森ビル提供) [写真番号:614238]
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海浜幕張駅前のエスカレーターで左右交互のステップに昨秋貼られた足形マーク(千葉市提供) [写真番号:614242]