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「伏せろ」終戦直前、母の受けた機銃掃射 両脇の女性は…

社会 | 神奈川新聞 | 2021年8月14日(土) 18:00

(男性・71歳)

 亡き母から何度か聞かされた話です。

 1945年8月初め、17歳だった母は横須賀から食糧調達のため、親から託された着物を携え、近所の年配の女性たちに連れられて、二宮に出向きました。農家で、着物をタマネギやジャガイモなどと交換するのです。

 無事に用向きを終え、野菜を入れた風呂敷を背負って列車に乗り、皆で談笑していると、突然列車が止まりました。誰かが「伏せろ」と叫んだので床に伏せました。

 飛行機と機銃の音が去った時、母の両脇にいた女性は、起き上がることはありませんでした。

 その後どうやって横須賀の自宅まで戻ったのか、記憶がないそうです。

 数日後に終戦となったものの、記憶が飛んでしまったので、実感がなかったそうです。ただ亡くなった人のことを「あと少しで終戦だったのに」とよく言っていました。

 17歳の少女にはあまりにもむごい体験ですが、今でも世界で同じような体験をしている人が大勢いると思うと、やるせなくなります。


 戦時下の日常を生きる女性を描いたアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年)の主人公、すずさんのような人たちを探し、つなげていく「#あちこちのすずさん」キャンペーン。読者から寄せられた戦争体験のエピソードを、ことしも紹介していきます。

 
 

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