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追う!マイ・カナガワ パートナー紙から 熊本日日新聞
コロナ禍の大学オンライン授業 「幽霊先生」に学生困惑

社会 | 神奈川新聞 | 2022年8月9日(火) 09:00

 新型コロナウイルス禍で対面授業が制限される中、大学の講義で最後まで教員の顔や声が分からないままで終わるケースがあるらしい。熊本日日新聞のオンデマンド調査報道「SNSこちら編集局」には複数の学生から「映像も音声もない遠隔授業って…」などと失望する声が寄せられた。一部では「幽霊先生」とも呼ばれているといい、実態を取材した。

 「本講義は全回遠隔で行います。ただし、映像の配信はできません」。この春、県立大に入学した熊本市の男子学生(18)は、受け取った講義ガイダンスの一文にがくぜんとした。毎回、オンラインでリポートを提出して評価を受けるが、「提出したリポートへの反応もなく、目を通してもらっているのかも分からない」と困惑する。

 担当は非常勤講師。名前は知っているが、講師の姿を見たことも、声を聞いたこともない。配信できない理由の説明もない。「幽霊部員」をもじって、「幽霊先生」と呼ぶ学生もいるという。

 教職課程では必須のため受講は避けられない。学生の保護者も「高い授業料を払っているのに」と嘆く。

 県立大によると現在、対面授業は5割ほど。対面と遠隔を使い分ける「ハイブリッド」が3~4割で、完全な遠隔授業は1割ほどだという。非常勤講師には映像配信がない遠隔授業も認めていて「ごく一部だ」と説明する。

 熊本学園大にも同様に映像配信なしの遠隔授業が存在するという。県央に住む同大3年の男子学生(20)は「1、2年生の時も最後まで先生の顔を知らないまま終わった講義はあった。コロナ禍では普通なのかなと思っていた」と明かす。

 学園大によると、現在は対面授業8割、遠隔2割。ただ、学生数が多い商学部や経済学部などは教室の収容人数の関係で、遠隔の割合が高くなると説明する。

 学園大3年の男子学生は「1週間に15コマ前後の講義を受けているけど、大学に行くのは週1日」と寂しげだ。

 一方、熊本大は「詳細は把握していないが、おそらく映像配信のない遠隔授業はないと思う」。崇城大も「そうしたケースはない。遠隔授業でも教員と学生が接する機会は別に設けている」と答えた。

 遠隔授業は教員のITスキルに左右される部分もある。文部科学省は今年3月、感染防止対策を徹底した上で、なるべく対面授業を実施するよう全国の国公私立大などに通知。学生の立場に立って、学ぶ機会を確保するよう要請している。

(熊本日日新聞社)

 
 

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