70周年を迎える原爆忌。安全保障論議がひときわ熱を帯びるこの夏、「核なき世界」に向けて、どんな思いをかみしめるのか。神奈川の被爆者や関係者の声に耳を傾ける。
訪米先で、現地の中学生から尋ねられた。
「米国を憎んでいませんか?」
10年前の渡米で講演した際には「リメンバー・パールハーバー」と言われたのに-。時代の流れを感じながら県原爆被災者の会会長、中村雄子(83)=平塚市=は答えた。
「報復は考えない。報復は連鎖を生む。米国には謝ってほしいが、皆さんに憎しみはない」
4月、米ニューヨークで開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせた渡米。「ヒバクシャ」の実相を世界に訴える旅は今年も続いた。「12、13歳の子どもたちが、あんな形で死ななければならなかった。再び子どもたちを被爆者にしてはいけない」
その信念には、自身も13歳だったあの夏の体験が根差す。
いつもの日常が
女学校の2年生だった。学徒動員で、爆心地から…