昭和の香りが色濃く残る横浜橋通商店街(横浜市南区)に、市内の大学生たちによる団体「下町編集室OKASHI」が新たな風を吹かせている。コロナ禍で奪われた「対面」の大切さを肌身で感じた若者たちが、空き店舗を拠点にイベントを手がけ、商店街に交流の場と活気を生んでいる。
アーケードのど真ん中、菓子店の看板が残った空き店舗が「OKASHI」のベースだ。「面白い/風情がある」といった意味の「をかし」になぞらえた通り、数々のイベントで利用客の興味をかき立てている。
「人が集まる空間が好き。足を止める場所があればもっと商店街が盛り上がるはず」とは、共同代表で横浜市立大3年の小林璃代子さん(21)。コロナ禍の昨夏に開いたイベント「夕涼みのお菓子」では、商店街の店から昔ながらの菓子や海外の菓子、玩具を集めて並べると、国籍を問わず老若男女が足を止め、品々を楽しんだ。
絵画展、地元の高校の写真展、「陶器と古着市」を開くと、意気投合した来客とタッグを組んで今度は短編映画の上映会…。新しい企画がどんどん生まれた。40年来の利用客という区内に住む女性(63)は「商店街に来る楽しみが一つ増えた」といい、拠点を提供した同商店街協同組合の高橋一成理事長(71)は「利用客同士の交流の場はなかった。目の付け所が良く、彼らがイベントを開くと(商店街の)雰囲気が変わるね」と目尻を下げた。
きっかけはボランティア
横浜橋通商店街の空き店舗を交流の場に 大学生が奮闘
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横浜橋通商店街のにぎわいに一役買う「下町編集室OKASHI」の合同代表、小林さん(左)と長縄さん=横浜市南区 [写真番号:1101290]
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昨夏開いたイベント「夕涼みのお菓子」。子どもからお年寄り、外国人ら商店街の利用客が楽しんだ(下町編集室OKASHI提供) [写真番号:1101291]
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自転車で引く移動式本棚「吉田くん」。横浜橋通商店街付近に江戸時代に開発された「吉田新田」の形をモチーフにした [写真番号:1101292]